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二重窓の自作

 冬場になると窓に結露が生じます。この水がカーテンに浸み込み、カビが生えて黒くなり、窓枠下の壁紙がはがれ、フローリングの床はざらざらになります。何とかならないものかと考え、二重窓を自作することにしました。

 本格的な二重窓を業者さんに頼むとびっくりするような金額が必要になりますが、ポリカーボネートの板を使って自作することで、安価に仕上げることができました。プロ仕様ではないので多少不便なところもありますが、まずまず満足のできる実用的なものになりました。

 このページでは、どのようにして二重窓を作ったのかを紹介したいと思います。

 二重窓にしたいのは、リビング(縦180cm×横90cmのアルミサッシの窓が4枚)、和室(同2枚)、洋間(同2枚が2か所)、その他小さな窓も合わせるとかなりの枚数になります。

 左の写真は、リビングの最も広い窓を二重窓にした状態です。アルミサッシ窓の内側にポリカーボネートの板を設置しています。もちろん、自由に開け閉めできます。

 和室には、アルミサッシの内側に障子が追加されています。このアルミサッシと障子の間には幅15mmほどの隙間がありましたので、ここに2枚のポリカーボネートの板が「引き違い」になるように設置して、二重窓にしました。

 (1)「ポリカ中空ボード」(以下、ポリカボード)は1枚2000円ほどしますが、今回の二重窓自作の要になるものです。ポリカーボネートという物質で作られていて、段ボールのような「中空構造」になっています。

 ただし、「段ボールのような構造」と言っても、いわゆる「プラダン」などというものとは全く違い、しっかりとした強度の、頼りになるボードです(「プラダン」というのは、「プラスチック段ボール」の略語で、軟らかく、コシがなく、少しの力ですぐ折れてしまうので、二重窓には使えません)。

 (2)「カブセ」は断面が「コの字」形のもので、窓枠の左右に取り付け、ポリカボードの左右の端が「コの字」の断面の中に入り込むようにするためのものです。つまり、窓枠とポリカボードとの間に隙間ができないようにするためのものです。

 左の写真中央に、縦に写っている茶色いものがカブセです。ポリカボードを閉めると、このカブセの中にポリカボードの端が入り込みます。

 ポリカボードの厚さは4mm。カブセの内幅は9mm。5mmの余裕があることで、ポリカボードを開け閉めする際に、カブセの内側にうまく入り込ませる(差し込む)ことができます。

 (3)「ガラス戸レール(上)」と(4)「ガラス戸レール(下)」(以下、それぞれレール(上)とレール(下))は、ポリカボードが納まる上下のレールです。レール(上)の溝は深く、レール(下)の溝は浅くなっていますから、必ず上下セットで使用します。

 (5)「グレPSアングル」(以下、PSアングル)は、ポリカボードの下に取り付けて、レール(下)の溝の中をポリカボードがなめらかに滑るようにするためのものです。

 両面テープで、左の写真のように貼り付けています。このようにすることでポリカボードがレール(下)と直接接触することがなくなり、開け閉めがスムーズになります。

 また、ポリカボードの切断面が多少ガタガタになっていても、このPSアングルのおかげで平らな底面になります。

 材料の準備ができたら、まずポリカボードのサイズを決めます。窓にポリカボードを設置したときの状態を上から順に見ていくと、

 (1) 上の窓枠

 (2) レール(上)

 (3) レール(上)とポリカボードの上端との間の「あそび」

 (4) ポリカボード

 (5) PSアングル

 (6) レール(下)

 (7) 下の窓枠

となります。

 上記の寸法のうち、(2)(5)(6)の厚みはいずれも約1mmです。

 (3)の「あそび」は2~3mmくらいが適当かと思います。レール(上)の「深さ」は9mmありますが、この「あそび」があまり大きいとポリカボードが外れやすくなります。また、ポリカボードの縦方向が多少長くても、敷居にはめるときにはボード全体を「たわませて」はめることができます。

 したがって、(4)のポリカボードの縦方向は、(1)と(7)の上下窓枠の間の長さから5~6mmを引いた長さになります。

 ポリカボードの横幅は、2枚のポリカボードを両側に一杯に移動したとき(つまり閉めたとき)に、中央部分がある程度重なるような長さにします。我が家のリビングの場合は、ポリカボードのもともとの幅910mmのままで重なり部分が25mmになりました。

 ポリカボードを切断するために多くの人がのこぎりを使用しておられるようですが、のこぎりで切ると切りくずがいっぱいできる上、切り口がガタガタになってしまいます。私は、カッターナイフで切りました。ただし、少し力が必要です。

 ポリカボードをカッターナイフで切るためには、まっすぐで長い定規が必要になります。私が使用したのは、幅10mm、長さ1820mm、厚さ1mmのアルミ板です。

 写真のように、ポリカボードをカッティングマットの上に載せ、アルミの「定規」を重ねて切断します。

 切断するときは、ポリカボードに貼りつけてある「保護シート」をはがさないで、保護シートと一緒に切ります。

 ただし、アルミの「定規」がすべるので工夫が必要です。「定規」の裏に30cm程度おきに長さ数cmの両面テープを貼りつけ、この両面テープによって「定規」がずれないようにしました。「定規」の裏全体に両面テープを貼りつけると「定規」がはがれなくなりますから、注意が必要です。

 ポリカボードの上下の切断面に水やごみが入り込まないように、テープで封をします。写真のように、透明の丈夫な荷造り用テープを貼りつけ、裏側に折り返します。

 ポリカボードの下の切断面には、さらに、両面テープでPSアングルを貼り付けます。このとき、PSアングルの底面(写真では右端)がまっすぐになっていることを確認します。この部分がレール(下)の溝に入って、すべりをよくしています。

 窓枠の周囲に、上下のレールとカブセを両面テープで貼り付けます(場所によっては、頭の平らなネジ釘でとめます)。

  • 写真(左):左側のカブセとレール(上)

  • 写真(右):左側のカブセとレール(下)

右側のカブセも同じように貼り付けますが、レールのどちらの溝(外側か内側か)にポリカボードをはめるのかを考えて、カブセを貼りつける位置を決めます。 

 ポリカボードそのものには表と裏の区別はありませんが、これを二重窓として使用するときには注意が必要です。おそらく製品の保存状況によるのだと思うのですが、ポリカボードを立て掛けたときにどちらかに大きく曲がり(たわみ)ます。つまり、「くせ」がついているようなのです。

 写真(左)の場合は室内側に曲がっています。これを裏返すと、写真(右)のようにポリカボードがアルミサッシに当たり、曲がらなくなります。

​ 写真(右)のようになるよう、表裏を決めます。

 2枚のポリカボードを上下のレールにはめ込んだときの様子です。アルミサッシの窓枠との位置関係を見てください。

 アルミサッシの窓枠と外側のポリカボードとの間に隙間(の先)が少しできる程度の位置になるよう、上下のレールの位置を決めています。

 最後に、取っ手をつけて完成です。取っ手は、10mm角の木の棒を10cm程の長さに切り、これも両面テープで貼り付けました。このとき、アルミサッシのロックハンドルが回せるように注意します(というか、このロックハンドルが回せるよう、ポリカボードの幅を決めておく必要がありました)。

 取っ手をつける位置は、高さの真ん中より少し下にします。ちょうど真ん中にすると、開け閉めをするときにポリカボードが傾いてスムーズに動かないことがあります。もし、障子や襖があれば、それらの取っ手の位置(高さ)を参考にしてみてください。

 この写真は、和室を二重窓にしたときの様子です。中央縦方向に2枚のポリカボードとレール(上)があり、その左側にアルミサッシの太い窓枠、右側に障子の木枠が見えます。アルミサッシの窓枠と障子の木枠との間には15mmほどの隙間があり、その上側の枠に幅17mmのレール(上)を取り付けています。

 レール(上)の方が隙間より2mmほど幅が広いので、このままではレール(上)を取り付けることができません。そこで、アルミサッシの窓枠の一部( の先)をヤスリで斜めに削り取り、レール(上)を取り付けられるようにしました。

 レール(下)の部分は、アルミサッシの太い窓枠の下端が斜めにカットされているおかげで、幅17mmのレール(下)をそのまま取りつけることができました。

 さて、二重窓にした効果はいかほどのものなのでしょうか。

 まず、結露が驚くほど少なくなりました。まったくゼロというわけにはいきませんが、とても寒い日の朝でも、ポリカボードの下方50cm程度のところにうっすらと結露が生じるという状況です。そんな日にはガラス窓やアルミサッシにも少し結露が見られますが、生じた水が下に垂れて流れるということはありません。

 また、和室に布団を敷いて寝起きをしていますが、以前は、寒い日の朝方に障子に触れて冷やされた空気が寝ている顔の上に流れてきたものです。でも、この二重窓を設置してからはそのようなこともなく、寒さを感じなくなりました。

  2月中旬の寒い日の昼ごろ、温度を測ってみました。

  • 室温=20.8℃ (石油ファンヒーターで暖房中)

  • 室内側のポリカボードの表面温度=19.0℃ (デジタル温度計のセンサーをポリカボードの表面にセロテープで貼り付けて測定)

  • ポリカボードとガラス板との間の温度=11.1℃ (ポリカボードとガラス板との間に温度計を置いて、気温を測定)

  • 外気温=4.6℃ (天気 晴れ)

 外気温が0℃近くのとても寒い日でも、晴れていて日光がリビングに差し込むような日には、午前中にファンヒーターで室内を温めれば午後は暖房なしでも過ごせます。二重窓の効果は絶大です。

 ​以上のような結果に、私としてはとても満足しています(^o^)。

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