
換気扇のベアリング交換
台所の換気扇(レンジフード)が「キュルキュル、ギャーギャー」とひどい音を立てるようになり、何とかならないものかといろいろ調べていたら、ベアリングを交換する方法が多くのサイトに紹介されていました。
道具さえあれば誰にでもできそうでしたので、チャレンジしてみることにしました。

けたたましい音を発しているのは写真のようなレンジフードで、富士工業株式会社製の「BDRー3H」という20年以上も前の製品です。
当然のことながら、とっくに製造終了になっていて、交換部品など手に入りそうにありません。

いろいろなサイトから学んだことを頭に入れて、とにかく分解してみることにしました。
まず初めに、レンジフード内部の右側にあるコネクタカバーを外します。

コネクタが現れたら、→ の部分を押しながら引っ張って、コネクタを外します。


レンジフード内側の左右にある「ねじ」をゆるめて、レンジフードのカバーを外します。

フィルターを外すと、カタツムリのような本体が現れました(20年以上使っている割には、とてもきれいですね。奥さんがきちんとフィルターを使っているおかげです(^o^))。

レンジフード内部右奥のコネクタも、→ の部分を押しながら引っ張って外します。

蝶ねじ3つを緩めて、正面の「リング」を外します。「シロッコファン」が見えてきました。
中央のねじは、「左ねじ(逆ねじ)」ですから、時計回りに回して外します。

本体は、左右の4か所と正面上部の1か所がビスで固定されていますから、本体が落ちないようにしっかりと支えながらこれらのビスをすべて外し、写真のように本体を傾けて引き出します。

裏返すと、モーターが4本のビスとゴムブッシュで固定されていることがわかります。これを外します。
その際、モーターから出ている電気コードが、写真のように排気口の反対側についていることを覚えておきます。

モーターを外したら、最初に、軸に差し込んである「ピン」を抜きます。バイス(小さな万力)に軸を載せて、軸に無理な力がかからないように注意しながら、プラスチックハンマーでピンをたたきました。


さらに、長さ50mmの鉄釘(太さ2.8mm)の先端を切り落としてヤスリで平らにしたものを差し込み、ピンを打ち抜きました。

モーターは、前後の「カバー」が2本のビスで固定されていました。他のサイトには、この部分が「爪」で固定されているものが紹介されていましたが、当然、ビスの方が分解しやすいです。

前後のカバーの間にマイナスドライバーを差し込んで、少しずつ均等にこじりながらカバーを外します。
このとき、→ の黄色いプラスチックの部品が外れますが、なくさないように注意します。

「回転子」を取り出すことができました。回転子の軸の部分にこびりついている油を、CRC(金属の防錆・潤滑・洗浄剤)でふき取りました。

「回転子」の軸の中心に、ポンチで小さな「くぼみ」を作ります。
この後で使う「ギヤプーラー」の先端をこの「くぼみ」に合わせることで、ずれることなく安全に作業することができます。

いよいよ、「ギヤプーラー」の出番。今回の作業で一番重要な道具です。3本爪・100mm。アマゾンで1890円で購入しました(今回のモーターのためだけなら75mmのものでOKですが、一つ大きいのにしました)。
2本爪のものもありますが、3本爪の方が安全かつ確実に作業できると思い、これにしました。

ギヤプーラーの爪が、回転子の軸に取り付けてある「Eリング」に引っかからないようにすることが重要です。
この状態で、ギヤプーラーの軸をレンチなどでぐりぐりと回していくと、ベアリングを抜き取ることができます。

反対側のベアリングは、ギヤプーラーの先端(回転子の軸より太い)がぶつかって、抜き取ることができません。
そこで、写真のように小さいナットを置き、このナットにギヤプーラーの先端を当てることで、抜き取ることができました。

抜き取ったベアリング(上)と、交換する新しいベアリング(下)です。
ベアリングの規格は、6200ZZ(内径10mm、外径30mm、幅9mm)。NSK社製。アマゾンで、2個セット800円で購入しました。

ベアリングは、まず、回転子の軸の長い方に打ち込みます。
新しいベアリングを回転子の軸に打ち込むときに、内径13mmの塩ビのパイプを使用しました。これは、水道管として使われているもので、「ガラクタ箱」の中 から探してきました。
ベアリングの穴に真っ直ぐに、傾かないように打ち込むことが重要です。
Eリングに接触する直前まで打ち込みました。打ち込みすぎて、Eリングを壊さないようにします。

反対側のベアリングは、塩ビのパイプなど使わないで直接板の上に置き、軸を真っ直ぐに打ち込みます。

組み立てる前に、モーター内部の油汚れをCRCでふき取りま した。
円形の薄い金属板をなくさないように注意します。この金属板でベアリングを押さえつけることで、回転子の位置を決めています。

ふたたび、カバーをつけて元通り組み立てます(円形の薄い金属板を後ろ側の カバーの中央にきちんと納めておくことも忘れないようにします)。
その後、電気コードが出ている部分に黄色いプラスチックの部品を「パチン」とはめ込みました。

回転子の軸にピンを打ち込みます。このときは、 軸をバイスにしっかり挟み、ラジオペンチでピンを支えながら、プラスチックハンマーで打ち込むとうまくいきました。
ここまでで、モーターの修理は完了。あとは、すべての部品をレンジフードに元通り取り付けて作業終了です。
スイッチを入れる前に、シロッコファンを手で回してみました。とても軽く、しかも滑らかに回ります。また、いったん回り始めたらなかなか止まりません。調子よさそうです。
いよいよ電源を入れます。「弱」のボタンを押すと、ゆっくりと、しかし確実に回り始 めました。「強」に切り替えても聞こえるのは空気を吸い込む音ばかりで、「ギャーギャー」の「ギャ」の音もしません。
「弱」にすると、とても静かです。 満足です! 感激です!!
今回の作業をするにあたって、下記のサイトから多くのことを学ばせていただきました(順不同)。ここに記して、謝意を表したいと思います。ありがとうございました。